1. 相続の基礎知識
相続対象となる財産
相続の対象となる財産は、プラスの財産だけではありません。以下のような財産すべてが対象となります:
プラス財産
- 預貯金
- 不動産
- 有価証券
- 生命保険金
- 事業用資産
マイナス財産
- 借入金
- 未払い税金
- 未払い医療費
- 公共料金の未払い分
準拠法の重要性
国際化が進む現代では、準拠法の理解が重要になっています。海外在住の親族がいる場合や、海外に財産がある場合は、どの国の法律に従って相続を進めるかを明確にする必要があります。
2. 遺言書の作成と保管
遺言書は、相続をスムーズに進めるための重要なツールです。
遺言書の種類と特徴
- 公正証書遺言
- 公証役場での作成
- 法的確実性が高い
- 原本は公証役場で保管
- 形式不備のリスクが低い
- 自筆証書遺言
- 自身での作成が可能
- 費用負担が少ない
- 法務局での保管が可能
- 形式不備に注意が必要
3. エンディングノートの活用
エンディングノートは、相続準備の基礎資料として有用です。
記載すべき重要事項
- 財産関連情報
- 預貯金の状況
- 不動産の所在
- 保険契約の詳細
- 負債の状況
- 希望・要望事項
- 財産の承継方針
- 葬儀に関する希望
- 医療・介護の希望
- 相続人への伝言
4. 成年後見制度の理解と活用
成年後見制度は、将来の判断能力低下に備えるために重要な制度です。
制度の種類
- 法定後見制度
- 後見:判断能力が欠けている場合
- 保佐:判断能力が著しく不十分な場合
- 補助:判断能力が不十分な場合
- 任意後見制度
- 判断能力があるうちに契約
- 後見人を自分で選択可能
- 支援内容を指定可能
5. 行政書士の活用方法
行政書士は、相続に関する様々な支援を提供できる専門家です。
主なサポート内容
- 事前準備段階
- 財産の棚卸し支援
- 相続シミュレーション
- 遺言書作成支援
- 相続発生時
- 相続人調査
- 遺産分割協議の支援
- 各種申請手続き
- 相続後の手続き
- 名義変更手続き
- 相続登記申請
- 事業承継支援
実践的な準備のためのチェックリスト
□ 財産状況の確認と記録
□ エンディングノートの作成
□ 遺言書作成の検討
□ 成年後見制度の理解
□ 専門家への相談
相続・遺言に関するQ&A
Q1: 相続放棄はいつまでにする必要がありますか?
A: 相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。期限を過ぎると原則として放棄できません。
Q2: 遺言書は自分で書いても有効ですか?
A: 自筆証書遺言として有効です。ただし、方式に従って作成する必要があり、形式不備があると無効となる可能性があります。
Q3: 相続人全員の合意があれば、遺言書と異なる分割もできますか?
A: はい、可能です。ただし、全員の合意が必要で、遺産分割協議書を作成する必要があります。
Q4: 生前贈与は相続財産に含まれますか?
A: 相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されます。また、相続時精算課税制度を使用した場合も相続財産に含まれます。
Q5: 相続登記はいつまでにする必要がありますか?
A: 2024年4月1日以降は、相続による所有権取得を知った日から3年以内に相続登記申請が必要となります。